研究者紹介

研究者

産学共同研究部門として「ダム再生技術」と「流砂環境再生技術」を開発していくために、
京都大学の角 哲也特定教授を総括リーダーとしつつ、産学連携を意図して参加機関から実務に精通した研究者が参加し
各種プロジェクトの連携を踏まえて人材交流を促進しながら、技術開発を進めていきます。

角 哲也

Tetsuya Sumi

角 哲也

Profile

1985 京都⼤学⼤学院⼯学研究科修⼠課程修了
建設省⼟⽊研究所ダム部⽔⼯⽔資源研究室主任研究員
京都⼤学⼤学院⼯学研究科助教授
京都⼤学防災研究所教授

Message

「地球沸騰時代」を迎え、洪水と渇水の激化に対する対策として、これまで以上にダムの役割は高まっています。 日本の地形・気候に適した水力発電は、カーボンニュートラルに貢献する重要な再生可能エネルギーです。 「流域治水」 や 「ハイブリッドダム」においても、 気象予測を活用した事前放流や高度運用により、洪水調節効果に加えて水力発電の拡大も期待されています。
一方で、こうした施策にダムが応えていくために、 ①構造的に安定かつ安全であること、②運用が社会のニーズに合致していること、③河川環境に適合していること、 の3点が重要です。 ダムは数ある社会基盤施設の中でも最も長期間の供用が期待される施設です。 適切な維持管理を行って長寿命化を図るとともに、 効果的な投資を行って治水・利水・環境の面で新たな付加価値を創造することが重要です。 新しく設立した産学共同研究部門は、 「ダム再生」 と 「流砂環境再生」をキーワードに掲げています。 ダム工学会で目指した、 「賢く使う」、 「増やして使う」 「ネットワークで使う」 ための 「ダム再生」に加えて、ダムを「永く使う」と同時に、ダム堆砂を河川環境に適合する形で下流に供給する「流砂環境再生」を実現させるべく、新しい技術の開発と、これを担う人材育成の拠点を目指しています。

有光 剛

Tsuyoshi Arimitsu

有光 剛

Profile

2007 ⼤阪⼤学⼤学院⼯学研究科(博⼠後期課程)修了
関西電力株式会社技術研究所シニア・リサーチャー
再⽣可能エネルギー事業本部⽔⼒エンジニアリングセンター
海外水力グループ総括課長

Message

2024年4月1日付で、クロスアポイントメント制度で、産学共同研究部門 ダム再生・流砂環境再生技術研究領域の特定准教授に着任しました。よろしくお願いいたします。
1999年に大阪大学大学院を修了し、関西電力に入社しました。2001年からの19年間には同社の研究所に在籍し、海岸工学および河川工学分野の研究に携わった経験があります。2020年以降は、国内水力事業に係る土木設備の新増設・改良・保守・運用に関する技術検討に従事しています。その中では、ダム運用高度化に資する長期間降雨・流出予測や、ダム堆砂対策など、ダム再生・流砂環境再生に関係する検討にも取り組んでいます。新たな産学共同研究部門では、主に、ダム再生に係るソフト技術(気象予測を用いたダム操作高度化など)の技術開発を担当します。施設能力を最大に発揮させることで、治水・利水・環境のあらゆる面で効果を得ることができるように、運用方法の高度化により既設ダムを「賢く使う」とともに、単独ダムの施設改造や複数ダムの組合せにより「増やして使う」ための技術開発・仕組みづくりを推進します。
これから、多くの方々と出会い、一緒に楽しく議論ができることを楽しみにしています。

恩田 千早

Chihaya Onda

恩田 千早

Profile

2019 京都⼤学⼤学院⼯学研究科(博⼠後期課程)修了
電源開発株式会社 スリランカ国アッパーコトマレ水力工事監理事務所
⼟⽊建築部企画業務室兼⼈事労務部⼈財開発室
⼟⽊建築部ダム再⽣推進室室⻑代理

Message

このたび、ダム再生・流砂環境再生に関する産学共同研究部門の研究室で特定准教授として関わることになりましたことを嬉しく思っております。 まず、 京都大学の研究環境やサポート体制には心から感謝しており、これからもその恩恵に感謝しつつ、より一層の研究成果を目指して取り組んでまいります。この産学共同研究の中で私は、流域治水およびカーボンニュートラルの両面から必要なダムの長寿命化のための堆砂対策について、流砂系の総合的な土砂管理や、下流河川への土砂供給の観点から、流砂環境の再生に向けて一層の技術開発を進めていくことを目指しています。 具体的には、流砂環境の再生に係る、 土砂流入予測、貯水池内における土砂動態予測、データベースを活用した土砂管理技術評価などの技術開発を担当し、共同研究を通じて企業の現場ニーズにマッチした成果を生み出すことに熱心に取り組んでまいります。 また、 この機会に多くの研究者とのコラボレーションを図り、相互の学びや情報共有を深めることも重要視しております。 皆さまとのパートナーシップにより、より豊かな研究活動を展開し、 新たな知識を築いていけることを楽しみにしております。

吉村 健

Takeshi Yoshimura

吉村 健

Profile

1998 名古屋大学大学院工学研究科(博士前期課程)修了 
2019 京都大学大学院工学研究科(博士後期課程)修了 
九州電力株式会社 総合研究所 社会インフラグループ 主幹研究員

Message

2024年8月より、ダム再生・流砂環境再生技術研究領域の特定准教授を拝命しました吉村です。よろしくお願いいたします。
私は1998年に九州電力㈱に入社以来、水力発電所の開発や堆砂対策を柱としたダムの長寿命化プロジェクトに技術者として携わってきました。特に、ダム貯水池に流入する土砂を本来の河川の姿に近い形で下流域に供給することによる「流砂環境再生」に関しては、九州宮崎県の実フィールドでの運用を通じて、河川や河口周辺海域の物理的な環境変化に加え、そこに生息する動植物の生態の変化についても、知見を集積し分析を進めている途上にあり、本研究領域における私の主要な研究テーマの1つと捉えています。
流域の安全やカーボンニュートラル実現の観点から今後ますます重要度が高まる国内外のダム・水力発電の効用の最大化、機能発揮の長期化を念頭に、若い技術者の方々とも大いに議論しながら、これまで私自身が先生や先輩方から授かってきた知見を更に伸長させ、多くの学びを得ることをとても楽しみにしています。

期待の言葉

京都大学 防災研究所 所長

堀 智晴

ダムは、水循環を制御する唯一の手段ともいえ、水災害の防止や各種用水、エネルギーの源として、機能の高度化が求められています。そのためには、ダムだけでなく、土砂の管理が極めて重要です。当研究領域が、ダムと流砂環境再生技術の研究を通じて、健全な流域環境を実現する知と技術、人材を産み出されるものと期待します。

公式ページ

水資源環境研究センター長

田中 賢治

多くの企業からの支援を受けて新たな産学共同研究部門が設置され、流域治水およびカーボンニュートラルの両面から今後ますます重要な役割が期待されているダムの高度運用と長寿命化に向けたより実践的かつ先端的な研究が展開され、「ダムの再生」と「流砂環境の再生」に関する研究拠点となることを期待します。

公式ページ

国土交通省 水管理・国土保全局

廣瀬 昌由

国土交通省では、気候変動による災害の激甚化への対応や2050年までのカーボンニュートラル実現を目指し、ダムの運用高度化や再開発等により、治水、利水、環境の機能を総合的に最大化する取組を推進しています。新たな研究開発拠点での研究が、これらの取組とも連携していただき、我が国が直面する課題の解決に貢献されることに大いに期待しております。

公式ページ

関西電力株式会社

気候変動、激甚化する自然災害、カーボンニュートラル等、目まぐるしく変化する自然環境、社会情勢の中、ダム、水力発電というインフラが果たすべき役割はより大きくなっています。本研究による飛躍的な成果により、「水力発電により持続的な脱炭素社会を実現する。」そのような未来へのステップとなることを期待します。

公式ページ

電源開発株式会社

気候変動リスクが前例のない状況を作り出す中、持続可能な社会の実現にはダム再生や流砂環境再生は喫緊の課題であり、ハードとソフトの両面で先進的な技術や革新的なスキームの開発が必要不可欠です。世界をリードする先駆的な技術開発成果と人財育成に期待します。

公式ページ

中部電力株式会社

水力発電は再生可能エネルギーの重要な電源です。中部地域には土砂生産・流出が活発な流域も多く、水力発電用ダム群を長く活用可能な方策やダム貯水池運用の高度化に関する技術開発が必要です。本共同研究講座がこれらの課題を解決するとともに、人財育成の要となることを期待しております。

公式ページ

九州電力株式会社

九州においては、九州北部豪雨や熊本地震等の災害激甚化、太陽光発電の急増による需給環境変化等、水力発電を取り巻く環境は厳しくなっています。その中でCNに貢献し、地域と共生する水力発電を持続可能とするため、国内外の知見を集結・研鑽し、より高度で効果的なダム技術が現場に還元されることを期待します。

公式ページ

株式会社建設技術研究所

我が国には多くのダムが建設され、環境影響などの課題を抱えながら、治水・利水の重要なインフラとして活躍しています。今回の角教授を中心とした産学共同研究により、「気候変動にも対応したダム機能の持続」や「ダム再生と運用の高度化」につながる技術開発がなされ、これからの人材育成につながることを期待します。

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株式会社ニュージェック

産学共同研究部門の設立おめでとうございます。国土強靭化と脱炭素社会の実現に向けて、本研究の果たす役割は大変大きく、ダムの高度運用と長寿命化の実現により、ダムの社会便益は飛躍的に増加することが期待されます。また本研究を通じダムの新たな価値創造を担う人材が数多く輩出されることを期待しております。

公式ページ

西日本技術開発株式会社

本産学共同研究部門におけるダム再生・流砂環境再生の技術開発に向けた研究は、ダム通砂関連技術の運用高度化や技術者の育成等に寄与する取り組みとなるものと考えています。また、本研究の成果が持続可能な社会の実現に向けて、私たちの未来にとっても大きな意味をもつ成果となることを期待しております。

公式ページ

一般財団法人水源地環境センター

豪雨の激甚化・頻発化やダムにおける堆砂の進行という喫緊の課題を、運用高度化を含む「ダムの再生」及び「流砂環境の再生」により解決しようする角教授の熱意を、この共同研究においてしっかりと受け止め研究成果として結実し、さらにその成果を世界に向けて発信できることを期待しています。

公式ページ

一般財団法人ダム技術センター

気候変動に伴う水害の激甚化、頻発化への対応やカーボンニュートラルの達成に向け、ダム再生が果たす役割はますます大きくなっています。本研究領域による成果が、施設の改良や運用の工夫など、ダムの持つ能力をより有効に活用するための技術的課題の解決に寄与し、ダム再生のさらなる進展につながることを期待しています。

公式ページ
産学共同研究部門活動報告